忍者ブログ

その数秒を被写体に

日常を主に綴っていく日記。バイクと釣りと、後趣味の雑文なんかが混ざる。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

BLACKER THAN THE BLACKEST BLACK

朝バイト行って、昼からミイラ見に行って、また夜バイト。

一記。

害虫駆除の後片付けをしにバイト先へ。
昼前に終わって帰宅。
内臓さんからメッセで呼ばれる。
どうも、岐阜のミイラを見に行かないかという話だった。
悩んだ挙句、いからば行かんとし。
行くと言って行ってきた。

両界山横蔵寺。
宗派 天台宗。
開山 伝教大師 延暦二十年。
桓武天皇の勅願寺。

というところに行ってきた。
ここは、伝教大師が自作の薬師如来を祠った寺で、かの比叡山の薬師如来と同じ木から作ったと言われている。
現役時代の信長に、寺領を全て取り上げられたとか。
まあ、そんなところに行ってきたんですよ。
今日はちょうど、木造薬師如来坐像の開帳の日だったようです。
すげえ、行き当たりばったりなのに、そんな当たりともいえる日にいけたのが素晴らしいと思う。
こちら、六十年に一度しか開帳されないらしいのです。
そのほかにも、日本に三箇所にしかない木造深沙大将立像や、大日如来坐像、板彫法華曼荼羅やら。
木造仁王尊立像に、木造十二神将立像、木造四天王立像などが。
これらすべて、国指定重要文化財です。
木造深沙大将立像は、皆様ご存知の、西遊記の沙悟浄である。
本堂、三重塔、仁王門は県指定重要文化財です。
それらがあるなかで、一際色のちがうものがある。

それが、妙心上人様の舎利仏であるのだよ。
これらは、写真撮影禁止となっており、肉眼でしか確認ができないので、興味ある方は行って、直に見てみるといい。
両親の没後、仏道修行に出て、西国、坂東、秩父の三十三箇所、四国八十八箇所を巡り、信濃の善光寺、万善堂で受戒されたそうな。
三十七歳という若さで断食をして、入定されたとする。
御正体山の洞窟で即身仏となったが、山梨県庁へ移され、その後出生地の横倉寺に祠られることになった。
全く人の手を加えず、綺麗な舎利仏となった妙心上人様。
一目見た瞬間、度肝を抜かれたよ。

綺麗に座禅を組んだ足。
両手の指を一本ずつ絡めて、握った手。
本当に、自然でしかできようのない、その。
妙心上人の舎利仏。
もう、何も言えなくなったのは言うまでもない。

人間が、とてもいい保存状態で、断食などを行った結果。
それが目の前にあって、こちらを見返しているのだ。
あんなの、見たらもう、何も言えなくて当たり前だと思う。

一記。

さて、ちょろっと風景の写真も撮ってきて、まあ適度に帰ってきました。
夜はまたmozoでバイトでした。
帰りにjubeatやりに行ったりね。

夏らしいこと、してねえなあと思ったけど。
重要文化財見れたからいいか。

ばーい。
 

PR

おとうさんがチワワ

「おい、お茶をくれ」
リビングで一匹の犬が吠えている。
「はいはい、ちょっと待ってくださいな」
母は忙しそうにリビングと廊下を行ったり来たりしている。時々、キッチンに入って鍋の火加減を見ているようだ。
「かーさん、僕のジャージってどこに閉まったのー?」
弟が部屋から母を呼ぶ。
「タンスの一番上にあるでしょー」
しかし母は忙しそうだ。
明日から旅行に行くので、準備に忙しいのだ。
「おい、お茶はまだか」
犬がきゃんきゃんうるさい上に、お茶まで要求してくる。
今度は誰も答えなかった。
「……寂しいなこれは」
犬……いや、姿形はチワワだが、この犬はお父さんだ。
どこかの携帯電話会社よろしく、白い犬ではないが、この犬はお父さんだ。
しかもチワワと来たら、威厳も何もない。逆に言えば、威厳のあるチワワを見たことはない。
ちなみに母も弟ももちろん私も人間だ。
どこをどう間違えても犬畜生などではない。
しかし、この光景を見て誰が納得するだろうか。
ソファのクッションにでんと腰をおろして、いっつも口から舌を出し、呼吸の度にハアハア言っているチワワがいて。そのチワワが私たちの父であるとは、誰が納得するだろうか?
歩く時は異様に足数が多い。しかも早い。カツカツ音がする。フローリングの床で滑る。口臭が獣臭い。身体が小さい割には、よく食べる。餌をもらうと誰彼構わず尻尾を振る。
私たちの父は、チワワなのだ。

父曰わく、昔チワワとチクワを間違えて買ってきたことがあって私を悲しませたことがあるので、その報いだと言い張る。私は実は、どこかの実験施設で被験者に選ばれて、実験の過程で姿形を犬に変えられたのではないかと思っている。
弟は、UFOに連れ去られて、宇宙人の技術で犬の身体に脳を移植されたのだと言い張る。そのうち、私たちも同じようにされるんじゃないかと思っているらしい。
母は昔からお父さんはこうでしたとしか言わない。流石に父との付き合いが長いだけあって、考え方が違うと思った。
「おい、まゆ、散歩の時間だ。よろしく頼むぞ」
お父さんはソファから降りて、トコトコと玄関まで走っていった。
「お父さん、今日雨降りそうだけど散歩行くの?」
私が聞くと、玄関を前足の爪でかりかりしていたお父さんが振り向く。
「えっ? 雨、降るの?」
私が頷くと、お父さんは唸った。
「ううむ……よし、行ってすぐ戻れば大丈夫だろう」
結果的に行くことになってしまった。お父さんはこういう時、ダメと言うとすぐに拗ねる。人間なってな……じゃないね、犬がなってないよね。
私はリードをお父さんの首輪と背中に取り付けて、散歩にgo。
着ぐるみでも何でもない、本当に私のお父さんは犬なのだ。
「おい、早く行くぞ」
お父さんは私を見上げて言った。
はあ、とため息をついて私は歩きだす。お父さんも、私より早いスピードで歩きだした。
まず、犬が喋るってことが理解できないという方もいるだろう。
まずおかしいと誰もが思うだろう。しかし、誰もおかしいと思っていないかのように接してくる。私たちがおかしいのか、周りがおかしいのか。どちらでもよいかと思う。
「夕飯は何だろうな」
父(犬)の問いかけに私は答える。
「多分、簡単なものだろうね。明日はお家にいないしね」
父(犬。チワワ。)はわかりやすいぐらいにしゅんとした。
「そうか……」
少し可哀想か?とは思ったが、父(チワワ)はそんなことでへこたれるような犬ではない。
「あ、でもほねっこ買ってあるよ」
それまでしゅんとしていた犬の尻尾がピンと跳ね上がる。
「本当か!?本当なのか!?」
めちゃくちゃ尻尾振ってる。顔が輝いている。
「よし!帰るぞ!今すぐにだ!」
チワワが勝手に向きを変えて走り出したが。
「ぐえっ」
リードの長さが足りずに、私の腕を伸ばした長さとリードの長さで止まる。
「お前!お父さんを殺す気か!?」
チワワはきゃんきゃん吠える。
「いや、お父さん、焦りすぎだよ」
「焦ってなどおらんよ!さあ早く帰るぞ!ほねっこ食うんだ!」
明日のおやつなんだけどなと思ったが、言わずにいよう。
お父さんが犬でも、私は構わない。
こんなお父さんでも、私はお父さんが好きだからだ。

GATE 222

昼に起きて大学行った。

一記。

その足で社長と遊びに行った。
おかげで金がwww

まあ金がないのはいつもだけれど。
まさかこんなにもほしいもんがあるとは思わなかった。

部屋が余計に汚くなった。
カードが散らかったせいだ。

一記。

なんだっけ、何か書こうと思ったんだけど。

コメントのレス

toくろねこ
そうか、おいしかったか。
ありがとう(じゅるり)
っていうかじゅるりってなんだよwww



一記。

疲れたので寝ようかと。
うん。

ばーい。
 

Fasten Your Seatbelt




jubeatやってきた。

画像は筐体と足。
誰の足とは言わず。
怒られるかな……。

一記。

さりげなく、ってのがいいんじゃないかと今更気づいた。
風呂の中で。
たまに積極的になれば、いいんじゃないかと並行しながら考えた。
そうでもないか。

夜バイトで、その足ですき家に行ってきました。
マネージャーとか店長とかと一緒に。
九時半から、三時間ぐらい居座って解散。帰宅。

帰宅後、例の美人さんと一緒にご飯行ってきた。
まあ、本題はDVDとかの返却にあったのだけれど。
で、その後、jubeatやりに行ってきました。
バージョン変わってから初プレイなので、ランクがすぐにあがるとか。
あれ、ポイントたまってたっけみたいな感覚で。
初期設定のマーカーのやりにくいことやりにくいこと。
設定変更したらやりやすくなった。
別にあのマーカーでなくてもいいのだけれど、一番あれが慣れている。
音量の、ボルテージみたいなマーカー。

そいでもって、帰宅。
色々話すけど、地元の面子じゃ誰よりも話しやすい気がする。
ぶっちゃけ、俺がぜんぜん喋らないのが仕様だから、何ともいえないけれど。

一記。

帰宅。
部屋の片付けでもしようかと思っているが、流石に時間がまずい。
結局今日だって、昼過ぎに起きたんだから。
とりあえず、これ書いたらみくしでバトンやろう。そうしよう。

それから。
更新しました。
どうだろうねえこれ。微妙な感じがするんだ。気のせいかな。
明日は休みだ。

ばーい。

それでも世界は生きているから ハイネとマリィ篇2

飛行機雲なんて見たことがなかった。
話には聞いたことがあるけど、見たことは今まで一度もない。ひょっとしたら飛行機なんてものがそもそも存在しないのではと私は思った。
大人たちが私に嘘をついているのだとしたら、どうしたものだろうか。
それが嘘なのか真実なのかを判明させるだけの力が私にはないから、誰かがいつか、見せてくれるのを待つ。



風の吹く音が、私の耳に響く。言葉をなくしたカナリアが空を飛ぶ。私は飛行機雲を見たことはないが、カナリアは見たことがあった。カナリアの存在を教えてくれたのはリリだった。リリはカナリアを飼っていて、一度だけ見せてくれたことがある。図鑑でしか見たことのない鳥だったから、私は感動した。
私を見つめて動かない彼女は、考えあぐねているのだろう。その瞳はどこか虚ろだった。どこかで見たことのあるような表情。
「僕、は」
彼女が口を開いて、私の肩に手を置いた。何かを迷っているような表情だ。
「最初は、君が、カムパネルラに似ていると思ったんだ」
カムパネルラ。私の知らない、彼女の思い出でしか語られない存在。
「自分でカムパネルラを殺しておきながら、僕はカムパネルラを、カムパネルラに似た君を求めた」
似ているから、求められた?
じゃあ、彼女は、私を。
「でも、僕の中で君は、カムパネルラとは違うものになっていった……」
マリィが私を見る。虚ろな瞳ではない、光の灯る、綺麗な。
「君だから好きなんだ、ハイネ」
その言葉は私を飲み込み、がんじがらめにしていく。まるで空に伸びる蔦に絡まれた鳥のようだ。そうか、私が言葉をなくしたカナリアだったのか。
「……ハイネ、大丈夫だよ、泣かなくていいから」
マリィが私の涙を拭う。私は声をあげて泣きくずれるしかなかった。
一つ一つの言葉が、私を優しく壊していく。
「たとえ、どんな君であっても、僕は君を愛しているから」
微笑むマリィがそこにいる。
私は、マリィに受け入れられた。



泣くのが辛いだなんて、今までは慣れたことでしかなかった。でも、今は違う。それらを乗り越えてこれたから今の私がある。
「次はハイネの番だよ」
息が詰まる。もう気持ちは決まっているのに。呼吸がうまくできない。私は。
「大丈夫? ハイネ、顔あげて」
「ん……んっ!?」
息も絶え絶えの私が顔をあげると、マリィが私の唇にキスをした。
抵抗する力もなく、私はただ、なされるがままに舌を弄ばれる。
「……こういう形でしか、受け入れてくれないと言うなら、それでもいい」
肩で息をする私を、彼女が捉える。視線は外さず、自然と見つめあう。
心臓の鼓動は高鳴り、私はその音が彼女にも聞こえるのではないかと心配になる。
「ハイネ、今度こそ離れないから」
私の気持ちは、既に決まっているのに。
どうして、言えないのだろう。もうひとりぼっちにはならなくて済む。寂しい思いをしなくていい。これからは、いつもどこにいてもマリィが隣にいてくれる。
ああ、なんて。
なんて素敵なことだろう。
ずっと、好きな人と一緒にいられる。どこにだって行ける。彼女となら、何だってできる。
今まで、誰に対してもこんな気持ちになれたことはなかった。兄さまの時でさえ、そうまでできる自信がなかった。
私を見てくれている。彼女は、私だけを見てくれているのだ

だから、私は。

そんな彼女にある一つの意地悪をしたくなった。
「マリィ……私、ね」
待ちくたびれた様子も見せずにいた彼女が、息を飲む。
「マリィに、そんな、に、愛さ、れていたな、んて、知らな、かった」
でも、これは意地悪の域を越えている。
自分でもわかるのだ。私がしていいことではない。本当に彼女の気持ちを確かめたくなったから。
軽い気持ちもあった。
マリィから離れて、窓に足をかける。
「……何の真似だい、ハイネ」
私は外に背を向けて、窓枠の上に立つ。
「本当、に、あな、たが私、を愛して、くれ、ている、のな、ら」
震える。腕だけじゃない、身体が悲鳴をあげている。
それでも、私はにっこりと笑って言ったのだ。
「私を、たすけ、て……」
その時。
まるで狙いすましたかのように突風が吹いた。私はバランスを崩して、そのまま背後に落下し。
マリィの驚いた顔が、遠くなる。少しずつ少しずつ、遠くなっていく。
スローモーション、というのはこの感覚なのだろうか。私の周囲の景色が、ゆっくりと、流れていく。
助けを求めるために伸ばされた腕は、空を掴んでその力を自らに押し返してきた。
ああ、本当に、これで。彼女の気持ちが確かめられるのだ。だったら、私の気持ちに悔いはない。やっと見つけた、愛を確かめあえる、マリィの気持ちを。
嫌だ。
私は何をしているのだろう。もう、このまま落ちていくしかないのに。何故そんなことを思うのだろう。死にたくない。マリィの気持ちを確かめるためだけに、私は死を選んだのか?
違う。わかっている。でも、私は。
私は。
空を掴む私の手が、より小さな手に絡めとられたのは、バランスを崩してすぐのことだった。



マリィが手を差し伸べてくれて、私は何とか窓枠からぶらさがる形となる。
「っ……冗談、キツいよ、ハイネ……!!」
私を引きずりあげようとする彼女。
なんで、彼女は。
「っとに……ぼーっとしてないで、這い上がってきてよ!」
声が荒々しい。
私は、そんな、彼女を困らせたいなんて。
身体に力を入れようとするが、入りきらない。足下は空気を蹴るだけで、地面なんて何メートルも先だ。
「力、出ない……」
マリィは私の話を聞いていないような顔で言う。
「知らないよ、そんな、こと……っ」
私を引き上げようと、必死になる彼女。
私は、空いた手を伸ばして、窓枠を掴もうとした。
「君が、僕を試して、何になるって言うんだ……」
しかし、窓枠を掴むことはできずに、余計に体力を消費しただけだった。
マリィは、半分身を乗り出す形で窓枠にもたれかかっている。私とて、自分の身体は重くはないはずだけれど、そんなに軽くないことを知っている。
私は何も言い返せない。
「助けるさ、たとえどんなことがあっても……君が世界に望まれなくても、僕が望む」
張り裂けそうな声で彼女は叫ぶ。私の瞳を見つめて叫ぶ。
「何だってする、君が望むなら」
呪詛のようで、祝詞のようで。
「でも、君がいない世界は嫌だ」
表情から、マリィの力が限界なのを感じた。私も、この手が離れたら終わる。汗で手が
「マリィ……」
水嶋ハイネは、ここで死ぬのか。
マリィが叫ぶ。

「君が……ハイネが死ぬぐらいなら……僕は世界なんていらない……君を、愛しているから……!」

その言葉は私を暗闇から引きずりあげた。
けれど、彼女の手が離れて。
私とマリィを結ぶ、一本のラインは途切れた。
私の瞳は、マリィと、彼女の背後を見つめながら――
「よくできました」
瞬間、マリィよりも私よりも大きな手が伸びてきて、私の手を掴んだ。
「……四塚、さん……」
私の手を掴んでくれたのは四塚さんだった。
「さ、君はそっち」
あっけにとられていたマリィが促されて、ハッとした表情になる。マリィはもう片方の手を掴んでくれた。
「よし、いち、にの、さんで引き上げよう」
四塚さんが言い、マリィが頷く。
「いち、にぃの……さん!」
同時に両腕を引っ張られて、私は窓の外から部屋へと戻ってきた。
「ふぅ……危ないな、もうしちゃダメだよ」
四塚さんが私の頭を撫でながら言った。
「バカっ!ハイネのバカっ!」
壁にもたれかかって息を整える私に、マリィは言う。その瞳は涙ぐんでいた。
「……ごめ、ん、なさ、い……」
心臓がまだドキドキとしている。私は、その動悸を抑えつつ、ゆっくりと息を吐く。
あ、四塚さんに、お礼を言わなければ。
「あ、れ……?」
部屋を見回してみたが、四塚さんの姿はない。
もう下に戻ってしまったのか。
ならば後できちんとお礼を言わなければならない。
私の隣で泣き叫ぶマリィ。
「泣か、ない、で、マリィ……」
私は段々と落ち着きを取り戻しつつある。しかし、身体は私の気持ちとは裏腹に震えている。
「大丈、夫、だから」
震える手でマリィを抱き寄せてあやす。
わんわん泣く彼女が、先程、私を求めた彼女だというギャップが、少しおかしく思えた。
「泣かない、で……いい子、だか、ら」
言葉は返ってこないけれど、代わりに私の身体を抱きしめる力が強まる。
くすりと笑い、彼女のために。
あの時、泣きやまない赤ん坊に聞かせた歌を。
私は歌う。

紡がれる歌に、彼女の涙は少しずつおさまっていく。赤ん坊のように彼女は身体を私に委ねる。
「……ハイネぇ……」
潤んだ瞳で私を見上げるマリィ。ああ、本当に。
彼女がいてくれてよかった。
私はそう思った。



「ハイネ、僕、君の気持ち聞いてないよ」
夕食後にくつろいでいると、マリィがそう言って私の顔を眺めだした。
「あ……えっ、と……」
言われてみれば、彼女の気持ちを聞いて安心しきっていたので、結局私は何も言わずにいたのだった。何故だか恥ずかしくて言えないだなんて、今更すぎる。
「ねえ、ハイネってば」
マリィが私ににじりよってくる。近い。主に彼女の顔が近い。
彼女の瞳がまっすぐに私を見ている。
彼女が私を愛してくれているのだから。
その気持ちを彼女は教えてくれた。私が答えなければいけないのに。
「あぅ……え、と……」
彼女から視線を逸らす。
廊下の向こうに葵さんの姿が見えた。
状況に気づいたのか、何も見なかったかのように通り過ぎて行った。私は、助けてもらえると思っていたのに。次に葵さんと話をする時、少し意地悪してやろうと思った。
「……言わないなら、いいよ、無理して言わなくて」
私の想いとは裏腹に、マリィは私から離れていく。
何だか、ひどく拗ねたような感じだった。これはまずいと流石に気づいた。
言わなければということで頭がいっぱいだったけど。
立ち上がった彼女を、引き寄せるかのようにして、私はマリィの名を呼んだ。
「ちが、うの……その、マリィ、私、恥ず、かし、くって……」
マリィがへえという顔をした。
「恥ずかしい、ねえ……」
表情が険しいが、私は勇気を振り絞って言うことにした。
「わた、私も、マリィ、のこ、と……」
マリィはじっと私を見ている。目を逸らさずにだ。
「マリィの、こ、と、愛し、てい、ます……」
言った!言い切った!マリィは!?
「……」
無言で私を見ている。
あ。
だめだ、きっと。
私には、そう思う以外の選択肢が。
「ありがとう、ハイネ」
やはりと言うか、なんと言うか。
それ以外の選択肢を選べなかった私がひどく臆病に思えた。
でも、それでも彼女は。
「それが聞きたかったんだ」
私を抱きしめてくれた。
まるで長い夢を見ていたかのような。



私は、水嶋ハイネとして生きることを許された。
そうして、私とマリィの道は続いていく。
たとえそのハテが、究極の選択肢を持って待ち構えていたとしても。
彼女がいるから、私は大丈夫だ。
もう、逃げない。
現実は、いつも目の前にあるのだから。






to be continue the next story →

Copyright © その数秒を被写体に : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]

管理人限定

カレンダー

06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

フリーエリア

最新コメント

[11/11 りょ]
[11/20 Mes]
[11/16 りょ]
[10/14 朋加]
[09/29 朋加]

最新記事

(05/20)
(05/15)
(05/11)
RAY
(05/11)
(05/09)

最新トラックバック

プロフィール

HN:
ikki
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析