世界が崩壊するという話は瞬く間に世間に広まった。
「朝から…洒落にならないわね」
とりあえず身支度から始めようと、窓を開ける。清々しい朝だ。雲一つない空、今日も暑くなりそうだ。
携帯が鳴る。
「誰よこんな朝から…家?」
液晶には実家という文字と見慣れた番号が並んでいる。
どうせさっきのニュースを聞いた父が心配して電話をかけてきたのだろう。通話ボタンを押して電話に出た。
結局、10分も経たないうちに電話を切ることになった。母も心配してくれていたらしく、電話口でぎゃあぎゃあ騒ぐ音が聞こえてきた。
「本当に終わりなのかしら…」
内心、半信半疑ではあった。まさかそんな話があるはずがないのだと。アセンションが起きるにはまだ早いし。
色々と思考を巡らせていくうちに、家を出る時間になってしまった。
今日も一日、アルバイト。
「政府は、本日よりひと月後の十月四日午前五時、日の出とともに世界が崩壊すると発表しました」
朝のラジオのニュースがこんな台詞を吐き出した。
「これによ・・・国連が…た処置は地球上における……た全ての国民の地球外…移住t」
いいところでノイズが入ってしまい、全ては聞き取れなかった。
今日はエイプリルフールか?と思いつつカレンダーを見る。
九月四日。
まだ終わらない夏休みの最中だ。
テレビをつけると、同じ内容のニュースがやっていた。
「国連が発表した情報によりますと、巨大隕石オルフェウスが来月四日に地球に衝突するということです。これにより、各国首脳がペンタゴンに招集され、一部を除いた全ての国民を地球外に移住させる方針を決定しました」
いやに冷静に、リポーターが記事を読み上げた。
他のチャンネルも同じ内容のニュースばかりだ。
真実なのだろうか。